鹿角の農産物のイラスト

鹿角市の特産農産物─りんご・桃・枝豆・そば・松館しぼり大根

2025年9月9日

鹿角市の農業の特色

秋田県北東部に位置する鹿角市は、奥羽山脈に囲まれた高原盆地の地形と寒暖差の大きい気候を活かし、多様な農産物を育ててきました。冷涼な気候は果樹や高原野菜の栽培に適しており、古くから稲作と並んで果樹や野菜の産地として発展しています。ここでは鹿角市を代表する農産物をご紹介します。

かづのりんご──北東北を代表する果実

鹿角市は「かづのりんご」の産地として知られています。市内では八幡平地区や花輪地区を中心に、昭和の初期からリンゴ栽培が盛んに行われてきました。昼夜の寒暖差が大きいため、甘味と酸味のバランスに優れ、果汁も豊富です。
品種は「ふじ」「つがる」「王林」「ジョナゴールド」など多彩で、秋から冬にかけて収穫されます。直売所や観光果樹園も多く、収穫体験ができるのも魅力です。

北限の桃──涼風が育む甘さ

鹿角市は「北限の桃」の産地としても有名です。東北の中でも特に北に位置する桃の栽培地であり、冷涼な気候が実を引き締め、濃厚な甘さを引き出します。
特に十和田地区や八幡平地区で栽培が盛んで、収穫期は8月中旬から9月上旬にかけて。小ぶりながら味が濃く、県外からもファンが訪れる逸品です。

鹿角の枝豆──夏の味覚

鹿角市内では夏季に枝豆の栽培が行われています。標高の高い冷涼な土地で育つ枝豆は、香りが強く、実入りも良いのが特徴です。収穫時期は7月下旬から9月。地元の直売所や飲食店では、新鮮な枝豆を使った料理が楽しめます。
特に地元のビールや日本酒との相性がよく、夏祭りや地域イベントでは欠かせない存在となっています。

鹿角のネギ栽培──農泊と結びついた取り組み

鹿角市では大規模なブランド化こそされていませんが、末広地区を中心にネギの栽培が行われています。地域の農泊体験プログラムの一環としてネギ収穫を組み込むなど、観光と結びついた取り組みも進められています。
特に秋口から冬にかけて収穫されるネギは、鍋物や味噌仕立ての料理に欠かせず、地域の食卓を支える存在です。

鹿角のそば文化──しぼり大根そば

鹿角市周辺では古くからそば栽培が行われており、地域の食文化として根付いています。その代表的な食べ方が「しぼり大根そば」です。松館地区特産の「松館しぼり大根」をおろし汁にしてそばにかけるこの料理は、爽やかな辛味が特徴で、シンプルながら一度食べると忘れられない味わいです。
市内のそば店では名物料理として提供され、観光客にも人気を集めています。

松館しぼり大根──鹿角の伝統野菜

「松館しぼり大根」は、鹿角市八幡平・松館地区で受け継がれてきた在来の辛味大根です。細長く白い根は柔らかいながらも水分が多く、搾った汁は強烈な辛みを持ちます。この辛みがそばの薬味や漬物に最適とされ、地元の人々に古くから親しまれてきました。
とても辛く、搾り汁をそばつゆに入れて楽しむのが地元の食べ方。
2017年には農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録され、全国的にも注目されています。栽培農家は減少しているものの、地域ブランドとしての価値が再評価され、保存と継承の取り組みが続けられています。

まとめ──多彩な農産物が支える鹿角の食文化

鹿角市では、りんごや桃といった果樹、枝豆やネギといった野菜、そして地域ブランドである松館しぼり大根まで、多彩な農産物が栽培されています。これらは単なる食材にとどまらず、地域の歴史や暮らし、観光と深く結びつきながら独自の文化を形成しています。
鹿角の農産物は、市内直売所や飲食店、観光イベントなどを通じて味わうことができ、訪れる人々に四季折々の魅力を伝えています。今後も地域の農業と食文化を支える大切な財産として、継承と発信が期待されます。

※本記事は、地域イベント「しごとーーい かづの」の関連情報として、鹿角の地元資源を紹介するコラムの一環として掲載しています。