かづの牛のイラスト

秋田が誇るブランド和牛「かづの牛」──大自然が育む、旨みの極み

2025年7月9日

秋田県鹿角(かづの)市で育てられている「かづの牛」は、全国的にはまだあまり知られていないものの、実は食通や肉のプロたちの間では高い評価を受けているブランド和牛のひとつです。霜降り重視の黒毛和牛とは一線を画し、赤身本来の旨み健康的な飼育環境を追求した「短角牛(たんかくぎゅう)」ならではの個性が光ります。

かづの牛のルーツ──「日本短角種」とは?

「かづの牛」の正体は、正式には「日本短角種」と呼ばれる国産和牛の一種。北海道や岩手、秋田など、寒冷な地域での放牧に適応した品種で、筋肉質な赤身肉が特徴です。全国で飼育されている和牛のうち、わずか1%未満しかいない非常に希少な存在でもあります。

鹿角市は、江戸時代から牛馬の放牧が盛んだった土地であり、広大な山地と牧草地を活かして、ストレスの少ない環境で牛を育てる文化が受け継がれてきました。その伝統が、今の「かづの牛」ブランドの礎となっています。

赤身の旨みが凝縮された肉質

黒毛和牛のような霜降り(脂身)を売りにするのではなく、「かづの牛」はあくまでも赤身本来の美味しさで勝負します。筋肉質で引き締まった肉は、噛むほどに肉のうまみが口に広がる味わい。脂肪が少ない分、胃にもたれにくく、健康志向の人にもおすすめです。

特に、焼肉やステーキなど素材の味をダイレクトに楽しむ料理との相性が抜群です。しっかりとした噛み応えと旨みがあり、食べごたえのある赤身肉を探している方にはぴったりです。

「かづの牛」ならではの育て方

鹿角市のかづの牛は、地元の認定農家のみが飼育し、その多くが放牧または半放牧による自然に近いスタイルで育てています。
飼料は地元産の牧草や稲わらを中心とし、抗生物質の使用を抑えた安全性の高い肥育を徹底。さらに、トレーサビリティ(個体識別)による管理が厳格に行われており、消費者にとっても信頼できるブランドです。

流通と入手の難しさ

「かづの牛」は大手流通にはほとんど乗らず、地元の精肉店や直営レストラン、ふるさと納税、イベントなどで限られた数量のみ出荷されています。だからこそ、知っている人は現地まで訪れて味わうほどの熱意を持つとも言われています。

近年では、鹿角市のふるさと納税返礼品や、イベント出店、地域ブランドとしてのPRも進んでおり、今後さらに知名度が高まることが期待されます。

「短角牛」という選択

「和牛=霜降り」のイメージが定着している中で、「短角牛」の魅力を知る人はまだ限られています。しかし、健康志向や地産地消の流れの中で、あえて脂の少ない赤身肉を選ぶ人が増えているのも事実。「かづの牛」は、そんな新しい選択肢として注目に値する存在なのです。

まとめ──かづの牛が教えてくれるもの

「かづの牛」は、単なるご当地ブランドではなく、風土と文化と人の手間が育んだ誇りある食材です。豊かな自然に囲まれ、丁寧に育てられた牛たちの赤身肉は、私たちに食のあり方を改めて考えさせてくれます。

鹿角を訪れる機会があれば、ぜひ一度「かづの牛」の味を確かめてみてください。そして、この記事をきっかけに短角牛の魅力を知っていただけたなら幸いです。


※本記事は、地域イベント「しごとーーい かづの」の関連情報として、鹿角の地元資源を紹介するコラムの一環として掲載しています。